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株主に「選ばれる会社」を目指して
JR東日本が事業報告映像で伝える、これからの企業価値

企業情報

東日本旅客鉄道株式会社

上場市場
東証プライム
決算期
3月
IRサイトURL
https://www.jreast.co.jp/company/ir/

導入サービス

サービス
株主総会 事業報告映像制作

経営企画部 経営統括ユニット(IR)  新川浩介様 (右)
総務法務戦略部 企画・リスクマネジメントユニット 佐藤佑樹様 (左)

個人株主とのコミュニケーションを重視する理由

Q. 株主対応全体について、どのようなことを意識されていますか。

当社には約30万人の株主がいますが、その約99%が個人株主です。その方々の満足度を高めることが、まず重要だと考えています。

同時に、30万人の声を経営資源として捉え、コミュニケーションを通じて、当社に何を期待しているのかを把握していくことも、株式業務の根底にあります。そのため、株主イベントや株主総会、メールマガジンなどを通じて、継続的に情報を発信し、対話の機会を設けています。株主優待についても、毎年内容を見直しながら拡充しています。

特に力を入れているのが株主イベントです。当社には、鉄道だけでなく、ホテルや駅ビルをはじめ、株主の皆さまに実際に見ていただける施設や事業が数多くあります。そこへ株主を招き、「当社はこのようなことに取り組んでいる」「こうした社員が働いている」と知っていただくことで、会社への理解を深めてもらいたいと考えています。

また、株主と直接接することは、社員にとっても自分の仕事を見つめ直すきっかけになります。株主と社員の双方にとって意義のある機会にしたいという思いから、継続してイベントを実施しています。

Q. 株主との対話を重視する様になった背景を教えてください。

背景には、コーポレートガバナンスをめぐる環境の変化があります。企業は株主とのコミュニケーションをより重視し、情報開示を充実させることが求められるようになりました。また、政策保有株式の縮減が進むなか、安定したガバナンスを実現するには、どのような株主に株式を保有していただくかを考える必要があります。

個人株主は人数が多い一方、一人当たりの保有株数は比較的少ない傾向にあるため、株主数を増やすだけでなく、一人当たりの保有株数を増やし個人株主層を厚くしていくことが重要です。こうした考えは当社に限らず、多くの上場企業が持つようになっています。当社でも2023年頃から施策を強化し、2024年には株式分割を行って、より購入しやすい株式にしました。

取り組みは、特にトップダウンで始まったわけではありません。株式業務を担うメンバーが「これからは個人株主が重要になる」「もっとコミュニケーションを取らなければならない」と考え、現場から進めてきました。イベントを積極的に実施し、その成果や株主との接点を役員にも報告しながら、社内での理解を広げてきた形です。

Q. 取り組みを続けるなかで、やってよかったことや、想定と異なったことはありますか。

A. 率直に言うと、施策の成果は数字として見えにくいと感じています。約30万人の株主がいますが、多くの株主向けのイベントや施策を繰り返しても、すぐに株主数や保有株数が増えるわけではありません。

一方で、すぐに目に見える成果が出なくても、地道な取り組みを毎年積み重ねることで「JR東日本は株主向けイベントを継続している」「毎年、株主優待を改善している」「株主に向けてさまざまなことを考えている」という印象を持っていただくだけでも、大きな意味があると考えています。

上場会社が数多くあるなかで、個人投資家の方から「選ばれる会社」にならなければなりません。

そのため、他社がどのような個人株主施策を行っているか、日々情報を収集し、意見交換をしています。限られた個人投資家に選ばれるための競争が始まっており、次の一手へのプレッシャーも強くなっています。これは、取り組みを続けてきたからこそ見えてきた課題であり、同時に収穫でもあります。

Q. 株主が抱く御社のイメージと、実際に理解してほしい事業内容との間に、ギャップはありますか。

A. そのギャップは年々埋まりつつあると感じています。ただ、当社に対して「鉄道会社」というイメージが強いことは間違いありません。株式市場でも鉄道・運輸セクターに分類されていますが、当社は鉄道だけの会社ではないということを、繰り返し伝えています。

新しい経営ビジョンでも、鉄道を中心とするモビリティと、不動産・まちづくり、ホテル、駅ビルなどの生活ソリューションの二つを軸として、経営をさらに強化していく方針を打ち出しています。この「二軸経営」は、株主の皆さまにもより深く理解していただきたい点です。

株主優待についても、鉄道の運賃割引だけでなく、生活ソリューション分野のグループ会社や商品を知っていただけるようメニューを増やしています。優待を使うこと自体が、当社の幅広い事業を体験し理解していただくきっかけになるよう意識しています。

Q. 今回の事業報告映像でも、「二軸経営」の見せ方を意識されましたか。

A. 意識しています。株主総会では、どうしてもモビリティの話題が中心になりがちです。

一方で、「TAKANAWA GATEWAY CITY」や「OIMACHI TRACKS」など、大規模なまちづくり・商業施設の開業も進んでいます。こうした取り組みをより強く伝え、モビリティと生活ソリューションのバランスが取れた構成にすることは、動画や資料を作るうえで特に意識しています。

制作会社を変更した理由

Q. 従来の事業報告映像の制作では、どのような課題がありましたか。

大きく二つありました。一つは費用、もう一つは校正のやり取りにかかる手間です。

映像制作に係る費用については、もう少し費用を抑えられるとよいと感じていました。

より大きな課題は校正でした。どうしても動画データの校正となると、大容量の動画データを送ってもらい、それをスクリーンショットを撮るなりPowerPointに画像を貼り付けて、そこに修正点を記入して…という作業になりがちです。

手間がかかるだけでなく、修正の意図をうまくお伝え出来ないこともあったのでそこを解消したいと考えていました。

i-Cueさんを知ったきっかけは、当時の担当者がセミナーに参加したことです。実際に利用している同業他社にも評判を聞いたところ、よい評価だったため、一度相談してみようということになりました。

Q. オンラインの校正プラットフォームを実際に使ってみて、いかがでしたか。

とても使いやすかったです。今回、取扱説明書やマニュアルを一度も見ることなく作業できました。それを見なくても操作できるほど直感的で平易なシステムだったということです。

どこを押せばコメントを書けるのか、差し替え用の画像をどこに添付すればよいのかが、画面を見ればすぐに分かりました。ブラウザー上で完結し、動画ファイルを毎回送ってもらう必要もなく、URLを受け取るだけで確認できる点も非常に便利でした。

Q. 修正の意図が正しく伝わるかという点では、どのように感じましたか。

まったく困りませんでした。

全体を通して強く感じたのは、こちらが「このようなイメージにしたい」と伝えた内容が漏れなく修正されているのはもちろん、こちらが気づかなかった点も修正していただいたり、よりよい見せ方を提案していただいたりすることがありました。

オンライン校正プラットフォームには、こちらのコメントだけでなく、それに対する返答や、「この部分はこうした方がよいのではないか」というi-Cueさん側の提案も残ります。どこまで細かく確認してくださっているかが目に見えたため、安心感がありました。従来感じていた「意図を伝えきれない」という課題は解消されたと思います。

Q. デザインやナレーション原稿の変更によって、御社側の負担は増えませんでしたか。

A. 負担は感じませんでした。むしろ、最初に動画の導入やモーションのイメージを見たとき、「イメージ通りだな」と感じました。校正を重ねるたびに動画がよくなっていくので、純粋にうれしく、制作そのものを楽しいと感じることができました。

数字の見せ方や表示の動きも工夫でき、とてもよい動画ができたと思っています。

以前は、セグメント別の売上について「こちらをご覧ください」とだけ読んでいた部分も、前期比や金額をナレーションで伝える形に変えました。情報を映像と音声の両方で理解できるようになり、内容面でも改善したと感じています。

Q. ナレーション収録の立合いをZoomで行った点はいかがでしたか。

A. 非常に効率的でした。従来は専用スタジオへ出向き、ナレーターの読みを聞きながら、発音の修正などをその場で行っていました。往復を含めると相当な時間がかかってしまいます

株主総会の準備が集中する4月から6月は、1分でも時間が惜しい時期です。今回はZoomで約30分確認するだけで完了しました。必要な品質を保ちながら移動時間をなくせたことは、大きなメリットです。

当社には車両形式や専門用語など、独特の読み方をする言葉が多くあります。従来は現地で指示した方が早いと考えていましたが、Zoomでも同じように細かく確認できました。関係者全員にとって効率的な方法だと思います。

Q. 社内では、どのような反応がありましたか。

上長と一緒に校正を確認するなかで、「大きく変わった」「ここまで来た」という実感と達成感がありました。

私自身、修正をお願いすれば必ず意図をくみ取って反映していただけるという安心感がありましたし、担当者として制作を楽しめたことが何より大きかったです。

来年度は、さらに洗練された格好よい動画にしたいと考えています。他社、特に自社や商品のブランドイメージを大切にしているメーカーの映像は、細部の動きや見せ方が非常に上手です。そうした事例も研究しながら、「このようなモーションは作れるか」と相談し、さらにアップデートしていきたいです。

株主総会前に事業報告映像を公開する狙い

Q. 事業報告映像を株主総会前に公開されているのは、どのような狙いからでしょうか。

A. 招集通知には、社長が議案内容や行使方法を案内する動画や事業報告映像を掲載し、株主の皆さまに視聴を呼び掛けています。当社がこの1年間に何を行い、株主総会で何を伝えたいのかを、文章だけでなく動画で簡潔に分かりやすく伝えるためです。

文字より動画の方が伝わりやすい内容もあるため、招集通知の公開と同時に動画も公開できる状態が望ましいと考え、制作時期を早めています。

株主総会に出席する前、あるいは議決権を行使する前に動画を見て、判断の参考にしていただきたいという狙いもあります。3月頃には事業報告に盛り込む主なテーマがある程度見えているため、決算数値の確定前から準備を始めています。

Q. 早期公開によって、制作スケジュールは難しくなりますか。

A. 招集通知の文章を作りながら、同時並行で動画を制作するため、難しさはあります。招集通知の内容が変われば、動画の原稿や画面も変更しなければなりません。さらに社長確認後に修正が発生することもあります。

今年も終盤で大きな変更が生じ、i-Cueさんには急な対応をお願いしました。これは毎年起こり得ることであり、今後も完全には避けられません。今回は初めての制作にもかかわらず、柔軟に対応していただきました。

Q. 事前公開した動画に対する株主の反応はいかがですか。

A. 株主から直接コメントをいただく機会は多くありませんが、視聴数は毎年増えています。株主総会前に動画を公開していることが、徐々に認知されてきたのだと思います。

当社から同業他社にも、動画を早期公開することで株主に分かりやすく伝えられると紹介しており、同様の取り組みを始める企業も増えているように感じます。

プロジェクト全体の評価

Q. 今回のプロジェクト全体を通して、どのように評価されていますか。

A. 費用と完成した動画の品質のバランスに、とても満足しています。

校正のやり取りが格段に簡単になっただけでなく、こちらの意図を正確にくみ取り、想定以上のデザインで戻していただきました。修正漏れもほとんどありませんでした。

当初の予定にはなかった追加校正や、急ぎの修正にも対応していただきました。「いつまでに戻す」と明確に伝えてくださり、スピードと安心感がありました。校正が簡単で、正確であることは、他社にもぜひ伝えたい強みだと思います。

事業報告映像は、株主とのコミュニケーションを支える重要な手段です。もっと分かりやすく、見やすい動画にしていくべくi-Cueさんと一緒に模索していきたいと考えています。

編集後記

今回のお話で特に印象的だったのは、事業報告映像を単なる「株主総会で使用する動画」ではなく、株主の皆さまとのコミュニケーションを支える大切な接点として捉えられていることでした。

約30万人の株主のうち、その約99%を個人株主が占めるJR東日本様。株主向けイベントや株主優待、情報発信など、さまざまな取り組みを地道に積み重ねながら、会社への理解を深めてもらおうとする姿勢が、今回の映像制作にも表れていたように思います。

制作では、これまで課題となっていた校正の負担を軽減するとともに、「鉄道会社」だけではないJR東日本様の幅広い事業を、より分かりやすく伝えることを目指しました。「制作そのものを楽しいと感じた」というお言葉をいただけたことは、私たちにとってもうれしい成果です。

これからも、制作する側・ご担当者様双方の負担を抑えながら、その先にいる株主の皆さまにしっかりと「伝わる」映像を、一緒につくっていければと思います。

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