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決算説明会の“次のスタンダード”へ
日本プロロジスリートが取り組むAIナレーション導入の裏側

企業情報
日本プロロジスリート投資法人
- 上場市場
- 東証
- 決算期
- 5月/11月
- サイトURL
- https://www.prologis-reit.co.jp/
導入サービス
- サービス
-
説明会ZoomLIVE(遠隔サポートプラン)
録画配信 / AIナレーション

(左から)財務企画部 田川様 白石様
決算説明会、変化するスタイルとその背景
日本プロロジスリート様:
「決算説明会は、毎期の決算発表直後に、最も早く投資家やアナリストの皆様にメッセージをお伝えする場だと位置付けています。形式が変わっても、その意義は今も昔も変わっていません。」
コロナ禍以前は会場に集まる形で、決算発表当日にそのまま説明会を行っていた。ただ、コロナ禍をきっかけにウェビナー開催が定着し、投資家やアナリストにとっても都合が良いという声が多く聞かれるようになったという。移動時間を省けることで複数社を掛け持ちできるようになり、効率性が高まったと受け止められた。
日本プロロジスリート様:
「当初はライブ配信を行い、QAもその場で実施していました。ただ、投資家の方々が『効率よく視聴したい』『1.5倍速で動画を見るのが普通』という時代になってきて。そうなると、プレゼンは事前収録で十分なんですよね。」
このような背景から更に効率性を求めて、説明会の形式をアップデート。
執行役員による説明動画を事前に収録し、決算発表直後にウェブサイトで開示。そのうえで翌日にQAだけをウェビナーで行うという形だ。
日本プロロジスリート様:
「事前に資料や動画を見ていただくことで、QAの質が格段に高まりました。『前日に十分に消化したうえで参加できたので有意義だった』という声も多くいただいています。効率性と質の両面でプラスになっていると感じています。」
▶第25期(2025年5月期)決算説明 質疑応答動画
「社長の言葉」で届けるメッセージの力
説明会の形式を変える一方で、大切にしているのが「社長の言葉で語る」という姿勢だという。
日本プロロジスリート様:
「テキストやスライドだけでは伝わらない“熱量”を届けるのが動画の役割だと思っています。社長が直接語る映像には意味がある。だからこそ、単なる資料配布ではなく、動画という形を選んでいるんです。」
実際、投資家にとっても「誰が語っているのか」は重要な要素であり、数字の羅列では伝わらないニュアンスやメッセージを届ける手段として動画は欠かせないものになっているという。
海外投資家との対話、英語配信の課題
国内投資家だけでなく、海外投資家への発信も重視している。全体の約3割が海外投資家であり、英語での発信を避けることはできない。
日本プロロジスリート様:
「以前は英語に堪能な役員が原稿を作成し自ら音声を収録して配信していました。ただ、特定の個人に依存するやり方は限界があると感じていました。スケジュール調整や修正の負担が大きく、さらにその役員が退任してしまえば続けられない。品質を安定させ、継続的に発信していくには、新しい方法が必要だと感じていました。」
ちょうどその頃、他でAIを使った説明動画を目にし、音声や映像の自然さに驚いたという。その経験も踏まえ、海外投資家向け英語配信にAIを導入する可能性を検討し、決算説明会運営を支援していたi-Cueに相談することになった。
英語AIナレーション導入、その狙いと期待
日本プロロジスリート様:
「AIであれば、原稿を渡すだけで安定した音声が生成されます。人が変わっても再現性を保てますし、品質を一定に維持できる。効率化と持続性の観点で非常に有効だと感じました。」
AI音声の導入は単なるコストや時間の削減、運用の負担軽減にとどまらず、将来にわたって安定した発信を続けるための仕組みづくりという意味合いが大きかったという。
パイロット版から実制作へ ― 導入のプロセス
導入のプロセスは、大きく分けて「パイロット版制作」と「実制作」の二段階で進められた。
日本プロロジスリート様:
「過去の決算説明会の原稿をベースにパイロット版を作ってもらいました。音声については、若々しい声や快活な声、落ち着いた声など複数のサンプルが提示され、その中から“信頼感のある落ち着いた男性の声”を社内で検討のうえ選ぶことになりました。
正直、最初は“AIに原稿を入れればそのまま完成する”と思っていたんです。ところが実際に聞いてみると、REIT業界特有の用語や固有名詞が正しく発音されなかったりと、いくつか課題も見えてきました。」
この経験を踏まえ、パイロット版制作の段階で得られた知見が原稿作成時の留意点として整理され、i-Cueからも事前に共有された。それに沿って原稿を準備し、本格的な実制作へと進むことになった。
やり取りは想像以上にスムーズで、社内でのチェックも効率的に進んでいったという。AI音声が届けばその日のうちにコメントを返し、翌日には改稿版が届く――その繰り返しで、限られた往復の中でもリリース可能なレベルを確認できたと振り返っている。
いよいよ本番の実制作に移ると、改めて見えてきた課題もあった。
日本プロロジスリート様:
「詳しく聞いてみると、やはり単調に聞こえてしまうところがあるのが気になりました。」
実制作の過程では、強調したい箇所をどう表現するかが課題となった。具体的な指示を出しながら、i-Cue側で細かい調整を重ねていったという。
日本プロロジスリート様:
「AI音声は非常に流暢ですが、一方で感情の抑揚や間の取り方は人間のようにはいきません。ただ、フィードバックを重ねることで、十分に実用的な品質に仕上げることができたと感じています。」
▶第25期(2025年5月期)決算説明動画【英語版】
初めての挑戦を終えて感じた手応えと今後への期待
日本プロロジスリート様:
「初めての取り組みでしたが、思ったよりもスムーズでした。パイロット版を先に作っていただいたのも安心につながりました。」
リリース後の反響としては、「ネイティブスピーカーのように自然」「とても聞き取りやすい」といった声が寄せられ、社内外で好意的に受け止められたという。
日本プロロジスリート様:
「まだ改善したい部分はあります。固有名詞の発音や抑揚の表現などは、もう少し自然さが出るといいと思います。ただ、効率性や再現性を考えれば、今後も有効な手段ですし、さらに自然で表情豊かな音声になることを期待しています。」
編集後記
今回の取材を通じて印象的だったのは、日本プロロジスリート様が常に「効率性」と「投資家との対話の質」の両立を意識して取り組まれている点でした。単に手間を省くのではなく、投資家がより理解を深めたうえで参加できるような仕組みを整え、その結果として質疑応答のレベルを高めているという姿勢は、リート業界ならではの特性を踏まえた実践だと感じます。
また、AIナレーションについても、導入が目的ではなく「人材依存のリスクを減らし、持続可能なIR体制を作る」ための手段として冷静に評価されているのが印象的でした。実際に使ってみて直面した課題を一つひとつ改善していくプロセスも、現場ならではのリアリティがあります。
「社長が語る映像の意味」「投資家にとっての効率性」「AIをどう活かすか」――どれもこれからのIR活動にとって避けて通れないテーマです。日本プロロジスリート様の取り組みは、その先駆的な事例として今後ますます参考になっていくのではないでしょうか。
取材日:2025年7月
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